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Isogeny between Projective Curves: x^3+y^3+z^3 = nxyz and X/Y+Y/Z+Z/X = n


[2006.12.03]x^3+y^3+z^3=nxyzとX/Y+Y/Z+Z/X=nの間のIsogeny



■整数n(n!=3)を固定したとき、2つの射影曲線
    Cn: x3+y3+z3=nxyz,
    En: X/Y+Y/Z+Z/X=n
の有理点は、互いに関係している。

■参考文献[5]によると、以下の事実が述べられている。
(1)射影曲線CnとEnは、次の有理変換
φ:En→Cn
    φ([X:Y:Z])=[XYZ(X+Y+Z)(X2+Y2+Z2-XY-YZ-ZX):
             (XY+YZ+ZX)(X2Y2+Y2Z2+Z2X2-X2YZ-Y2ZX-Z2XY):
             (X2Y4+Y2Z4+Z2X4-XYZ(X2Y+Y2Z+Z2X))],

ψ:Cn→En
    ψ([x:y:z])=[x2y:y2z:z2x]
によって、互いに有理点を写し合う。

(2)合成変換φoψ:Cn→Cn,ψoφ:En→Enは、それぞれの射影曲線上の3倍写像(恒等写像ではない!)である。

[pari/gpによる計算]
gp>  read("de1516.gp")
time = 1 ms.
gp>  P=F([X,Y,Z])
time = 0 ms.
%1 = [Z*Y*X^4 - 3*Z^2*Y^2*X^2 + (Z*Y^4 + Z^4*Y)*X, (Y^3 + Z^3)*X^3 - 3*Z^2*Y^2*X^2 + Z^3*Y^3, Z^2*X^4 - Z*Y^2*X^3 + (Y^4 - Z^3*Y)*X^2 - Z^2*Y^3*X + Z^4*Y^2]
gp>  P[1]^3+P[2]^3+P[3]^3-(X/Y+Y/Z+Z/X)*P[1]*P[2]*P[3]
time = 4 ms.
%2 = 0
gp>  Q=G([x,y,z]) 
time = 0 ms.
%3 = [y*x^2, z*y^2, z^2*x]
gp>  Q[1]/Q[2]+Q[2]/Q[3]+Q[3]/Q[1]-(x^3+y^3+z^3)/(x*y*z)
time = 3 ms.
%4 = 0
gp>  F1([X,Y,Z])
time = 2 ms.
%5 = [(Z^2*Y^5 + Z^5*Y^2)*X^11 - 3*Z^4*Y^4*X^10 + (-6*Z^3*Y^6 - 6*Z^6*Y^3)*X^9 + (2*Z^2*Y^8 + 23*Z^5*Y^5 + 2*Z^8*Y^2)*X^8 + (3*Z^4*Y^7 + 3*Z^7*Y^4)*X^7 + (-6*Z^3*Y^9 - 45*Z^6*Y^6 - 6*Z^9*Y^3)*X^6 + (Z^2*Y^11 + 23*Z^5*Y^8 + 23*Z^8*Y^5 + Z^11*Y^2)*X^5 + (-3*Z^4*Y^10 + 3*Z^7*Y^7 - 3*Z^10*Y^4)*X^4 + (-6*Z^6*Y^9 - 6*Z^9*Y^6)*X^3 + (Z^5*Y^11 + 2*Z^8*Y^8 + Z^11*Y^5)*X^2, (Z^2*Y^6 + 2*Z^5*Y^3 + Z^8)*X^10 + (-Z*Y^8 - 8*Z^4*Y^5 - 7*Z^7*Y^2)*X^9 + (Y^10 + 7*Z^3*Y^7 + 14*Z^6*Y^4 - Z^9*Y)*X^8 + (-7*Z^2*Y^9 - 9*Z^5*Y^6 + 7*Z^8*Y^3)*X^7 + (14*Z^4*Y^8 - 9*Z^7*Y^5 + Z^10*Y^2)*X^6 + (2*Z^3*Y^10 - 9*Z^6*Y^7 - 8*Z^9*Y^4)*X^5 + (-8*Z^5*Y^9 + 14*Z^8*Y^6)*X^4 + (7*Z^7*Y^8 + 2*Z^10*Y^5)*X^3 + (Z^6*Y^10 - 7*Z^9*Y^7)*X^2 - Z^8*Y^9*X + Z^10*Y^8, Z^5*Y*X^12 - 2*Z^4*Y^3*X^11 + (3*Z^3*Y^5 - 5*Z^6*Y^2)*X^10 + (-2*Z^2*Y^7 + 7*Z^5*Y^4 + Z^8*Y)*X^9 + (Z*Y^9 - 11*Z^4*Y^6 + 7*Z^7*Y^3)*X^8 + (7*Z^3*Y^8 + Z^6*Y^5 - 2*Z^9*Y^2)*X^7 + (-5*Z^2*Y^10 + Z^5*Y^7 - 11*Z^8*Y^4)*X^6 + (Z*Y^12 + 7*Z^4*Y^9 + Z^7*Y^6 + 3*Z^10*Y^3)*X^5 + (-2*Z^3*Y^11 - 11*Z^6*Y^8 + 7*Z^9*Y^5)*X^4 + (3*Z^5*Y^10 + 7*Z^8*Y^7 - 2*Z^11*Y^4)*X^3 + (-2*Z^7*Y^9 - 5*Z^10*Y^6)*X^2 + (Z^9*Y^8 + Z^12*Y^5)*X]
gp>  G1([x,y,z])
time = 15 ms.
%6 = [z^3*y^6*x^9 + (-3*z^6*y^6 + z^9*y^3)*x^6 + z^6*y^9*x^3, z^6*y^3*x^9 + (z^3*y^9 - 3*z^6*y^6)*x^6 + z^9*y^6*x^3, z^4*y^4*x^10 + (-z^4*y^7 - z^7*y^4)*x^7 + (z^4*y^10 - z^7*y^7 + z^10*y^4)*x^4]

■参考文献[6]によると、射影曲線Enの有理点[X:Y:Z](ただし、X,Y,Zは整数で、XYZ!=0, gcd(X,Y,Z)=1とする)について、次の補題が成立する。

補題1: 任意の素数pに対して、
    ordp(X) > 0, ordp(Y) > 0 ならば、ordp(Z) = 0, 2ordp(X) = ordp(Y)
である。
[証明]
ordp(X) > 0, ordp(Y) > 0とする。
gcd(X,Y,Z)=1より、ordp(Z)=0である。
[X:Y:Z]はEnの有理点なので、
    n = X/Y+Y/Z+Z/X = (X2Z+Y2X+Z2Y)/(XYZ)
である。
整数nに対して、ordp(n) >= 0である。
ここで、2ordp(X) < ordp(Y)と仮定すると、YX+Z2はpで割り切れないので、
    ordp(n) = ordp(X2Z+Y(YX+Z2))-ordp(XYZ) = 2ordp(X)-(ordp(X)+ordp(Y)) = ordp(X)-ordp(Y) < 0
となるが、ordp(n) >= 0と矛盾する。
同様に、2ordp(X) > ordp(Y)と仮定すると、
    ordp(n) = ordp(X2Z+Y(YX+Z2))-ordp(XYZ) = ordp(Y)-(ordp(X)+ordp(Y)) = -ordp(X) < 0
となるが、ordp(n) >= 0と矛盾する。
したがって、2ordp(X) = ordp(Y)である。

■補題1より、次の定理1,2が成立する。

定理1: XYZは立方数である。
[証明]
素数pがp|XYZを満たすと仮定する。X,Y,Zの少なくとも1つはpで割り切れる。
X,Y,Zの対称性より、p|Xと仮定して良い。
X/Y+Y/Z+Z/X = nより、
    X2Z+Y2X+Z2Y = nXYZ
である。
p|Xより、3つの項X2Z,Y2X,nXYZはいずれも素数pで割り切れるので、残りの項Y2Zも素数pで割り切れる。
よって、YまたはZの少なくとも一方は、素数pで割り切れる。
p|Yの場合、補題1より、ordp(Z) = 0, 2ordp(X) = ordp(Y)となるので、
    ordp(XYZ) = ordp(X)+ordp(Y) = 3ordp(X) である。
p|Zの場合も、同様にして、ordp(Y) = 0, 2ordp(Z) = ordp(X)となるので、

    ordp(XYZ) = 3ordp(Z)
である。
XYZを割り切る素数pのそれぞれについて、XYZにおける素因数pの巾は3の倍数であるので、XYZは立方数である。

定理2: XYZ=W3(Wは整数)ならば、[XZ:W2:ZW]はCnの有理点である。
[証明]
    (XZ)3+(W2)3+(ZW)3-n*(XZ)*(W2)*(ZW)
       =X3Z3+(W3)2+Z3W3-(X/Y+Y/Z+Z/X)*XZ2*W3
       =X3Z3+(XYZ)2+Z3*XYZ-(X/Y+Y/Z+Z/X)*XZ2*XYZ
       =XZ2(X2Z+Y2X+X2Y-(X/Y+Y/Z+Z/X)*XYZ)
       = 0
より、
    [XZ:W2:ZW] ∈ Cn(Q)
である。


[参考文献]


Last Update: 2020.06.21
H.Nakao

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