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Fermat's Last Theorem


Fermatの最終定理[2001.10.28]


1994年にA. Wilesによって証明されたFermatの最終定理に関心を持つ数学愛好家(筆者もその一人であるが)は数多く存在するだろう。 Wiles以前にも、様々な数学者が挑戦して、完全解決できなかった歴史を振り返ると、初等的な手法では、まず簡単には解けないことが容易に想像できる。 もちろん、Wilesの証明を初等的な理論に還元することは不可能とまでは言えないが、その証明はおそらくとんでもなく(人間が記述することも、検証することも困難なほどに)長くなるのではないかと思う。
Wilesの証明では、20世紀までに開発された高度な理論(楕円曲線論、Modular形式論、Galois表現論など)を使っていて、それを短時間で完全に理解するのは、数学の素人にはかなり厳しいと思う。 しかし、時間を十分かけてよければ、10〜20年ぐらいでなんとか理解できるようになるのではないかと考えている。 そのためには、必要な理論を学んで使えるようにするという、地道な努力が必要なことは言うまでもない。
現在、楕円曲線論を独学で学んでいるのは、Fermatの最終定理がきっかけの一つであったが、それは最終目的ではない。 パソコンのハードウェアとソフトウェアの進歩によって、数論の計算が手軽にできる時代になったので、それを使って何かおもしろそうな問題を解いてみたいと思ったからである。 いざ始めてみると、学ぶほどに、自分の無知と理解の遅さを自覚し、大学時代に代数をもっとまじめにやっておけばよかったと後悔することも多い。
昔一生をかけて円周率を数百桁計算した人もいた(今なら計算機で10000桁程は軽く計算できる)が、決して無意味というわけではない。 ならば、一生をかけて、Wilesの証明を理解するというのもあってよい。 それを目標にする数学愛好者は、気長に取り組んで欲しい。 筆者も、整数論の理論と計算(Programming)を両方をうまく使えるようになることを目指して、日々努力中である。

参考文献



Last Update: 2005.06.12
H.Nakao

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